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「日本美術ブーム」の牽引車 伊藤若冲「動植綵絵」のこと 
山下裕二(明治学院大楽教授)


(前略)
 こんな「日本美術ブーム」の最大の牽引車になっているのは、アメリカのプライスコレクションの中核を成してもいる江戸時代の画家、伊藤若冲(一七一六〜一八〇〇)である。ほんの十年ほど前まで、一般的な知名度はほとんどなかった。高校の日本史の教科書にも、まったく名前は載っていなかった。もちろん、日本美術史の専門家にとっては周知の存在だったが。

 そんな若冲による、衆目の一致する最大の遺産は、宮内庁三の丸尚蔵館蔵「動植綵絵」三十幅。もともとは、釈迦三尊像とともに、計三十三幅の壮大な「仏画」として京都の相国寺にあったもの。若冲は、四十代の約十年を費やしてこの絵を描き、自らと亡き家族の永代供養を条件に寄進した。
伊藤若冲「動植綵絵」より(宮内庁三の丸尚蔵館蔵)

 しかし、明治の廃仏毀釈により、相国寺は経済的に困窮。明治二十二年(一九八九)、相国寺は「釈迦三尊像」を除く三十幅を皇室に献上し、一万円の下賜金を得た。その下賜金によって、失いつつあった寺地を買い戻し、疲弊した寺の再興がはかられたという。もし、三十幅が皇室に献上されることがなかったなら、いまのように良好な保存状態は保てなかっただろうし、ことによっては、分割して売却されていたかもしれない。ともかく「動植綵絵」の保存にとって、この窮余の一策は、僥倖だった。はたして、明治天皇は、この絵をご覧になることがあったのだろうか?
(後略)



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やました ゆうじ
昭和三十三年、広島県生まれ。東京大学大学院修了。室町時代の水墨画を起点として、その研究領域は多岐にわたる。主な著書に『室町絵画の残像』『岡本太郎宣言』『京都、オトナの修学旅行』『日本美術の二○世紀』、『日本美術応援団』(赤瀬川原平と共著)、『日本美術の発見者たち』(矢島新・辻惟雄と共著)、『岡本太郎が撮った日本』(岡本敏子と共編)。



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