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寄稿「私と武道」

 


 この度のウェールズ武道講習会(8月20〜25日)は、ヨーロッパ7ケ国から51名の熱心な参加者を得て、たいへん有意義であった。

 わけても、高段者の比率が高かったことは特筆に値する。それぞれの道場では重要な立場にもあり、研鑽をつんできたという自負のある方々であろうし、また各道場主はいわばその国を代表しているのであろう。にもかかわらず、一門人に立ち戻って、耳目を集中して講義を受け、また練習に励む真摯な姿は、日本の道場でもなかなか目にできるものではないと感じた。

 初心者が熱心なのは、目にするものみな新しく、その興味のつきるところのないことからすれば当然の事であるが、高段者になり、ある程度の型も身に付き、人の指導をもするようになると、自ら学ぶ姿勢がややもすると後退するのは、日本の道場において日常茶飯のことである。

 繁忙の合間を縫って集まった参加者は一様に熱心で、大いに得るところあって、それぞれの国に帰られたことと思う。しかし、私自身は、その彼らの真剣で向上心に富んだ、熱意溢れる態度から、むしろ彼らにまさり数倍に値するものを学ばせてもらったと感じている。

 彼らのそうした態度は、もちろん、日本から遥かな地で、異質の文化を体得しなければならないという緊迫感、この希少なチャンスを逃すまいとする切迫した事情に裏打ちされているのは十分承知している。

 だが、ここで私が感じたのは、我々日本人は日本の地に居て、身近にすぐれた指導者に恵まれているが、気楽な気持で修練を続けて居ても、彼らと同じだけの、もしくはそれ以上のものを体得しえるのであろうかということである。文化とその精神を継承するにあたって、必要な真剣さ、真摯さは日本人であろうと外国人であろうと、いっさい変わりはなかろうということを、彼らの姿を通じて感じたのである。

 一期一会の確信を抱いて道場の稽古に臨んでいるかと問われれば、「然り」と答えたいのはやまやまなれども、環境が恵まれていればこそ、常にそうとは言えぬおもはゆさを自らに感じた次第である。

 各人が、それぞれの思いを抱いて至誠館の道場にこられて修行に打込んでおられるのであるから、私がとやかく申すことではないが、この度の私の体験に多少とも共感し、新境地を見出すきっかけになっていただければというのが、私がこの講習に参加して抱いた率直な感想である。 


にしたに・きみお=昭和52年至誠館入門。平成12年より第四代至誠会代表幹事。少年時代は柔道に熱中、至誠館入門後30年、鹿島神流武術と合気道の練成に励む(合気道六段)。経営する理科系専門の私塾には武道場を併設し、文武不岐の精神をもって塾生と地元青少年の育成に努めている。

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