メニュー
明治神宮ロゴ
メニュー
コラム「大和心」

国民の危機感の変化

 2月中旬に産経新聞がおこなった「政治と安全保障政策に関する世論調査」(2/15付)では、政府や国会が核問題の議論を行うことに「賛成」と答えた人が86・7%という高率を占め、「賛成しない」の8・5%に格段の差を開いたのは、昨今の日本人の危機意識のあらわれとして特記すべき動向だ。

 同紙では、「核論議は長くタブー視されてきたが、いよいよ国民が許容する時期を迎えていると報じ、早速その日から「核ドミノの時代」と3回にわたって連載を開始。17日には、平成16年の防衛大綱で、当時の自民党政権で原子力潜水艦の保有の可否が検討されていたことを一面トップで報道するとともに、「核ドミノの時代」(下)で、東京、グアム、台湾の生命線の海域には、原潜こそ抑止力となりうることを提言して、日本の核戦略の一つの選択肢を呈示している。

 これまでタブー視されてきた核問題の議論に90%近い人が賛成した背景には、民主党政権の尖閣問題への対応(評価しない79・8%)や北方領土問題(評価しない70・8%)への拙劣な対応のほか、北東アジアの核兵器の現状に、「不安を感じる」84・1%(「気にならない」14・2%)、「北朝鮮が核搭載可能なミサイルを保有することは日本に脅威か」に、「思う」90・5%(「思わない」7・9%)という強い危機感がある。これらを踏まえて、最も望ましい日本の安全保障体制については、次のような答えが出ていて、アメリカとの協力体制を保持するのと自主防衛力の強化を求める声が半々の数字となっている。

日米安保体制の堅持 43・4%
核を保有しない自主防衛 32・9%
核を保有した自主防衛 10・2%
中国と連携 6・1%
他(分からない、言えない) 7・4%

 核を保有する(10・2%)にせよ、保有しない(32・9%)にせよ自主防衛を求める人が43・1%と、日米安保体制を堅持の43・4%とほぼ同数を示していることは、これまで日米安保体制に大きく依存し主体性がなく、隷属的であった防衛意識が“自主防衛”に変化しつつあることを示して、「普通の国」に近づいているといえる。

 この自主防衛と、日米安保体制堅持をあわせると86・5%となるが、これは「核問題の議論に賛成」とほぼ同数。

 これらの数字と比較して、「中国と連携」がわずか6・1%であること、北朝鮮の核ミサイルに対する脅威が最も高い90・5%であることから、中国と北朝鮮への警戒感とアメリカだけに頼らず自主防衛の意識を強く持ち始めたことを踏まえた上で政府、国会での議論がおこなわれる必要があろうが、その際注意すべきこともある。

 15日の産経新聞「正論」欄では、佐瀬昌盛防衛大学名誉教授が『「核問題議論せず」に決別しよう』との論を展開していた。核兵器をつくらず、持たず、持ち込ませずの非核三原則に「議論せず」を加えての四原則化はおかしいとの論を述べつつ、あわせて無関心、無知の克服が先決と主張しているのは傾聴に値する。

 極東の深刻な核環境にどう対処するかを決めるのは政治だ。その第一歩は「四原則」の中の「議論せず」に決別し、活発な核議論を始めること。政治の無関心、無知の克服が先決で、無知のままいきなり独自核武装に飛びつくことではない。

 上記の「正論」から見れば、議論を提唱しつつ、いきなり“原潜保有”を報ずる記事の意図も唐突で同調しえない面もある。まずは政府・国会だけでなく、国民レベルでも核議論を活発化して、無関心、無知を克服していくことが急務であろう。(い)

-大和心トップに戻る-

 

サイトマップ お問い合わせ Q&A 明治神宮外苑 明治神宮の結婚式 刊行物の御案内 崇敬会について 武道場 至誠館 国際神道文化研究所 宝物殿 明治神宮へのアクセス 明治神宮の自然、みどころ ご参拝されるかたへ 祭典と行事 明治神宮とは トップページへ 最新情報 至誠館の歩み 図書紹介 入門案内・施設概要・地図 コラム「大和心」 武道とはなにか 寄稿「私と武道」 海外要人の来訪 各課の鍛錬時間 年間行事とお知らせ 国際交流 至誠会(門人の会)便り