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コラム「大和心」

東日本大震災を通してみる日本の姿

 東日本大地震に際し、天皇陛下は「被災者のこれからの苦難の日々を、私たち皆が、さまざまな形で少しでも多く分かち合っていくことが大切であろう」との御言葉を国民に下賜(かし)された。また、救済・復興への強いご決意をお示しになり、皇居では陛下御自ら電気を一定時間使わない「自主停電」を続け、また、避難所・被災地に赴かれては被災者の苦難の心を静め、犠牲者の御霊(みたま)を鎮魂されている。

 天皇陛下のご決意と日本国民に沸き起こった利他的精神と行為を踏まえれば、いまこそ、単なる災害復興ではなく、本来の日本復興の機とするべきだと思う。単なる災害復興であれば、社会道徳が希薄で、国民の希望に満ちた将来を描けないような自由競争経済主義社会に戻るだけだ。そうではなくて、世界が絶賛した共存共栄の社会規範をさらに発展させ、その実績を世界に広めることができる国家再建に舵を取り直すことが望まれる。

 そもそも、そうした社会を創造することこそが、日本建国の本来の目的なのだ。

 神武天皇は、日本建国に際し、民(おおみたから)の幸福を第一とする家族的国家建設のため、寶御位(たかみくらい)に臨まれ、私(わたくし)を捨て民の幸福を祈り、神を祭ることを詔(みことのり)にあらわした。民はこれを模範として相手を思いやり世のため人のため力を尽くそうとすることで、東日本大震災に見られた優れた社会規範を有する日本の伝統文化を築いてきたのだ。

 日本では、歴史上度々、大地震大津波による天災を被ってきたが、その都度、時々の天皇の詔によって、災禍を克服し、国民の社会的結束を強めてきた。その根本は、天皇自らが「例え天災であろうとも、国民に被害が起きたことを全て自分の不徳に致すところ」と畏(かしこ)まれ、被災民と同じ艱難辛苦の最中に御身をおき、全身全霊を持って被災した人々の救済を施してきたところにある。民の幸福を第一とする家族的国家建設(八紘為宇)を目的に、真心から「国安かれ民安かれ」と祈る天皇だからこそできる即時の決断であり、国を纏め上げる救済・復興である。

 党利党略を考える政治家や、自己の保身や損得を優先する経済人からは、このような決意と行動は出てこない。真心を失った人がリーダーになると社会は破壊される。

 日本の武道は、まさにこのような伝統文化の下に、「利他」に徹する精神の修養に主眼を置くことで、他国の戦闘術とは異なる進化と発展を遂げた。それを「忠孝」と端的に言い表わす。これは、私利私欲のため他者を滅ぼす武力ではなく、利他的道徳観を共有できる社会防護のための武力である。そこから編み出された武術は、「誠忠滅私」の凄みを備えた。あの世での自己救済すら望まない。七たび生まれ変わって忠臣としての誠を尽くす。この世のために身を捨てる気構えで戦う武人は、相手にとって恐ろしい存在となる。

 「利他的」道徳心を有する人に対しては誠に謙虚で優しく支えになり、他方、「利己的」な人に対してはこれほど恐ろしいものはないような存在。

 すなわち、天皇陛下が皇祖皇宗(こうそこうそう)から引き継いだ神勅のご使命を達成されんことを、猛々しきまごころを持って奉仕するのが真の日本の武人の姿だと思う。(あ)


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