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コラム「大和心」

刀匠の心と作品

 信州東御市の梅野記念絵画館で開かれていた「刀匠 宮入法廣(のりひろ)作刀展2011」(7月24日〜8月28日)を、宮入ご夫妻のご案内で拝観できたのは、日本刀の作刀について知識のない筆者が、刀匠の心を知って日本の伝統の技に触れるよき体験となった。

 宮入氏は、江戸期から続く刀鍛冶の名門に生を享けた。お父さんは名人といわれた刀匠・宮入清宗氏、伯父さんは人間国宝の宮入行平氏、叔父さんもまた人間国宝の大隈俊平氏というが、ただ名門出身というだけでなく、伝統という反面は固執にも挑戦して独自の道を歩んだ人である。

彼は敢えて宮入一門を離れ、人間国宝の隅谷正峯師に師事。武士の魂が息づく古代刀剣の世界に限りなく迫る途を選び、その途こそが刀造りの本命と信じた。

と中條高徳氏(英霊にこたえる会会長)は推薦の辞で述べている。

 名門宮入一門の出身ということは備前伝の人であるが、はじめは相州伝の隅谷師に師事。そこで5年の修業をした。そののち父の宮入清宗氏の下で9年の修業を終えて、東御市で自らの研鑽と弟子の育成に15年余をかけた。そして、50歳を迎えたときにしばし刀を離れた思索の中で、自らの内から湧き上がる声を聞いたという。それは、

刀匠として技も度量も充実した今こそ、胸の内にずっと秘めてきたあの志津の古刀に向かう時なのではないか。備前伝の枠にとどまらず、念願の相州伝に挑み、己の命の証として独自の道を斬り拓いていこう(作刀展2011図録より)

というもの。生まれ育った備前伝の枠を破って、南北朝期、相州伝の古作「無銘伝志津」を手本に「己の命の証」として挑んで、出来上がったのが平成17年作の刀「法廣」。

 この二振りの刀を鑑賞してみると――。

 その違いを言葉で表すことは難しいが、手本にした「無銘伝志津」には、やまとの土の匂いがあるという説明が印象に残った。

 そうした目で備前伝の刀「法廣」を見て比較すると、宮入氏の人となりが刀身に表れていながら、鍔元あたりには、相州伝の強さがこもっている感がした。つまり備前伝の美しさを保ちながら相州伝の強さが加味されている。

 刀剣づくりは、神話の時代の韓鍛冶(からかぬち)と倭鍛冶(やまとかぬち)の関係がある。

彼の国の刀剣が我が国に招来されているばかりでなく、彼の国流の造刀の技術も同時に、我が地に移植されているものと思われ、やがて倭鍛冶の作風に韓鍛冶の長を採り入れて、融合大成への道を辿ったもの(本間順治著『日本刀』岩波新書)

との見方があるが、名だたる刀匠の作品には、生まれ、育ち、思想と生き方がそのままに姿形になって表れていて、精神の美を感じさせるものがあって、心洗われる。(い)

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