メニュー
明治神宮ロゴ
メニュー
コラム「大和心」
タイトル

 今年の春から、中学校において「武道」が必修科目となる。これは、安倍内閣において教育基本法が改正され、青少年にたいし日本の伝統文化を修得させる一環として実施するものだ。具体的には武道を通じて、(1)技術面の修得、(2)自主性、他者の尊重、自己責任、健康・安全の確保、(3)伝統的思考・運動の修得、が期待されている。

 近年、青少年期における人格形成が軽視されてきたことによって、数々の社会問題が生起してきている現況に鑑み、武道教育の必修化はたいへん意義深い。今後の課題は、この機会に武道教育が実質的成果を生み出せるかということになる。

 そもそも、こうした伝統文化の回復には常に政治的あるいはイデオロギー的抵抗が存在する。既に、メディアを使って武道の安全性の問題等を取り上げて過剰な危機感をあおっているのはその一端といえる。また、愛国心の育成そのものを否定する人々は、あいもかわらず、戦前の暗黒イメージを無思考のまま繰り返して、武道の本質そのものを否定した論調を張っている。

 しかしこれは、武道教育が正しく行われれば、愛国心が育成され伝統文化の回復も可能になるということを認めているからに違いない。

 高度成長期以前の日本であれば、このような反愛国心、反伝統文化的煽動は有力であったかもしれないが、現在の日本国民は、戦後政治や輸入されたイデオロギーに辟易し、ものごとの本質を見分けることができるようになってきている。特に、昨年の東日本大震災を経て、戦後社会の脆さと危うさに対し、伝統的日本社会の崇高さが際立って認識できるようになった。他者のため社会のために力を尽くす日本人、法秩序が機能しなくてもより結束の固い慣習的社会秩序を守る日本の伝統文化。この日本の美徳は世界中が認め賞賛した。

 武道の本質は、「世のため人のため己を捨ててまことを尽くす」人間教育である。人を愛し、地域社会を愛し、国を愛し、世界を愛す。それが武道の本質である。しかしながら、そうした善良な心を見失い穢れで犯された者に対しては、禊祓(みそぎはら)いが必要である。自分で自分の穢れを祓えない者に対しては他者が武威をもって禊祓ってやらねばならない。その役割を果たすための「武道」である。

 しかし、そのような人間形成には当然時間が必要である。また、家庭の環境、社会の環境はよりいっそう重要である。ただ、週に1回程度の武道教育であっても、期待しているような効果は生まれる。

 その一例として、明治神宮至誠館に10年通って稽古した少女の作文(抜粋)を紹介する。

 私は、稽古前と稽古中にある少しの静寂時間が隙である。姿勢を正し、目を閉じて大きく深呼吸すると、ざわついた心はたちまち静まり返る。明治神宮の森の凛とした空気、道場を通り抜ける風を体に感じながら自分を省みる貴重な時間となっている。毎日、部活や勉強で忙しく通り過ぎる時の中、この時間だけは自分をしっかりと見つめることが出来る。思い返せば、6歳のときから10年間、毎週1,2回必ずこの行為をしてきた。幼いころはただただ暇な時間でしかなかったが、この数分間の積み重ねは確実に私を成長させてくれた。人は、自分を見つめなおすこと、自分と向き合うことをしないと次に進めないと思う。

 武道の魅力にはなんと言っても心が鍛えられるというところにあると思う。エアコンの存在が当たり前である世の中で、そのようなものがない道場で、真夏でも真冬でも窓を開け、同じ胴着を着て稽古に臨むのはかなり辛いものがある。何年通ってもこれに関しては体が慣れることはない。だが、年数を重ねて変わったことがある。それは、どんなに暑くてもどんなに寒くても、それを乗り越えて稽古をすることに魅力を感じている私がいることだ。ものの考え方や気持ちの持ちよう、つまり人格は合気道の影響で確実によい方向に変化していることを感じる。

 最近、初めて教育勅語を読んだ。それを読むと、私が合気道から学んだことと同じようなことが書かれていた。つまり、私が合気道から得たものは、明治天皇が国民に学んでほしかったことであるといえる。今まで文化の伝承など意識したことがなかったが、日本が古くから持っている道義道徳を自分がちゃんと学ぶことが出来ていることがわかり、とても嬉しかった。日本という国の国民であることを実感して、それを誇りに思うことが出来たのは始めてである。

 小学校1年から通い始め、塾やクラブ活動の多忙な時期は、稽古に来たり来なかったりしながらも10年間武道の稽古を続けた少女の武道所見である。

 あらゆる理論より、このような少年少女の言葉は力強く心を打つ。これは、まちがいなく武道という日本の伝統文化の力による成果である。

 私は、日本の武道の力を信じ、中学校における武道教育の導入により、一人でも多くの青少年が、健全なる心身の育成に喜びを覚えることを心の底から願うものである。(あ)

-大和心トップに戻る-

サイトマップ お問い合わせ Q&A 明治神宮外苑 明治神宮の結婚式 刊行物の御案内 崇敬会について 武道場 至誠館 国際神道文化研究所 宝物殿 明治神宮へのアクセス 明治神宮の自然、みどころ ご参拝されるかたへ 祭典と行事 明治神宮とは トップページへ 最新情報 至誠館の歩み 図書紹介 入門案内・施設概要・地図 コラム「大和心」 武道とはなにか 寄稿「私と武道」 海外要人の来訪 各課の鍛錬時間 年間行事とお知らせ 国際交流 至誠会(門人の会)便り