■ 杜からのメッセージ

 

明治神宮では、平成23年より「鎮座百年記念 第二次明治神宮境内総合調査」を行い、委員会を開催して明治神宮の杜のあり方について調査し、意見を交わしてきました。

 

鎮座百年を期して、これまでの調査と意見を踏まえ、明治神宮より「杜からのメッセージ」を発信いたします。

 

 

杜からのメッセージ

 

~はじめの百年。これからの千年。まごころを継ぐ永遠の杜をめざして~

 

 令和2年11月1日、明治神宮は「鎮座百年」を迎えました。世界有数の大都市・東京の真ん中に広がる東京ドーム15個分の「神宮の杜」は、100年前、全国各地からの献木10万本と、全国の青年ボランティア11万人の奉仕でつくられました。

 

 神宮の杜は最初から、自然の生長により「永遠の杜」となるよう計画されたのです。

 『明治神宮御境内林苑計画書』には、植栽直後、50年、100年、150年後と杜の成長を4段階で予想した林相の「遷移予想図」があり、これまで2度の「境内総合調査」によって順調に生長していることが確認されています。特に鎮座五十年につづくこのたびの「鎮座百年記念 第二次明治神宮境内総合調査」では、生物多様性の維持が地球的課題であることを踏まえ、東京都心の貴重な大規模緑地でもある神宮の杜と境内の生きものたちの実態を詳細に解明し、都市環境への大きな貢献を再確認いたしました。

 

 鎮座百年の杜の生きものたちは、現在、樹木約36,000本を含むシダ植物等1,043種、野鳥133種を含む動物1,797種その他で、合計して187目684科2,008属2,840種が確認されました。

 なお毎木調査は、1924(大正13)年、1934(昭和9)年、1970(昭和45)年、2011(平成23)年の4回実施しており、70万㎡規模で同一場所の継続調査は世界初の学術的成果と高い評価を得ています。また、野鳥の定期観察会は1947(昭和22)年からずっと続けられ、それだけでも評価されていますが、鳥類の種類の変化と林相の変化を対照すると、その相関から林苑のあり方が予見されます。これからも「永遠の杜」を目指すために『鎮座百年記念 第二次明治神宮境内総合調査報告書』の分析を深めると共に、今後の杜の生きものの経年変化を継続的に調査してまいります。神宮の杜の保全に皆様のご理解をお願いしたいと思います。

 

 神宮の杜の保全方針は創建時より一貫しています。

 

「自然との共生」と「生命の循環」を守り抜くことです。

 

 樹木たちは生長し、落葉は土に戻り、腐葉土として生物をはぐくみ、発芽条件を満たし、また次の生命を再生します。動植物から微生物にいたるすべての生命は、太陽の恵みと人々の愛情に支えられ、豊かな生態系(エコシステム)を完成し、都市圧、環境圧に耐えて「永遠の杜」に向かって歩み続けています。

 

 生命体としての地球や人類の歴史を見れば、100年はほんの一瞬のことでしょうが、この100年の間に、戦争や災害などを経ながらも技術の発展は目覚ましく、人々の生活は一変しました。

 しかしこの杜の中では、毎年、毎月、毎日の祭事が折り目正しく繰り返され、人々の祈りの場を大切に守ってきました。いまや、日本中はもちろん世界各国から大勢の人々が訪れています。国民のみなさんの鎮守の杜であり、海外の来訪者も心の底からの安らぎを覚えるからでしょう。

 

 神宮の杜は、人種や文化を超え、世界中の人々の「自然共生社会」への希望を実感する杜であり続けたいと願っています。