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【平成30年】

春号

『代々木』は、明治神宮・明治神宮崇敬会が発行する季刊誌です。

我が国の美しい伝統精神を未来に伝えるため、昭和35年より刊行をつづけております。

明治神宮崇敬会の皆様にお送りしております。

 

[明治神宮崇敬会のお申込み]

明治維新150年/五箇條の御誓文布告百五十年 「日本の国柄」考える年に
明治維新150年/五箇條の御誓文布告百五十年 「日本の国柄」考える年に

櫻井よしこさん

今年は憲法改正の重要年

自分のこととして考えて

明治維新で最初に布告されたのが五箇條の御誓文で、憲法は明治二十二年の発布です。憲法がどのようにつくられたか。渡欧した伊藤博文は、憲法を一体どうつくったらいいだろうと死にたくなるほど悩んだのですね。でも、オーストリアで、「憲法というのは他国のまねではなく、あなたの国の文化文明を基にして、どのような価値観を守るべきかということを考えればいい」と言われて目から鱗が落ちて、これで日本に帰れる、と感動するわけです。憲法とは国柄を表したものなのです。では、日本の国柄とはなんだろう、ということをもう一度、この明治維新百五十年の記念すべき年に考えたらよいのです。

いまの憲法はGHQにつくられ、前文には、国際社会の公正と信義にすがりましょう、自分の国の力では何もしません、ということが書いてあります。それを具体的条項に書いたのが九条です。国の交戦権を認めない、軍事力を持たない、戦う権利も認めない……こんな国は世界広しといえども、ありません。このような状況を改めなくてはいけません。今年は憲法改正を実現する、とっても大切な年です。その自覚を持たないといけない。

(……略……)

日本国としては、余裕はありません。楽しい、嬉しいだけではいけないですね。楽しい、安全な、豊かな社会を持続させるにはどうしたらいいのかということを、自分のこととして考えなくてはいけません。

 

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櫻井 よしこ(さくらい・よしこ)

ジャーナリスト、国家基本問題研究所理事長。英字新聞『クリスチャンサイエンスモニター』東京支局でジャーナリズムの仕事を始め、ニュースキャスターを経て、現在に至る。平成19年にシンクタンク・国家基本問題研究所を設立し、インターネット配信の「言語テレビ」も主宰する。国防、外交、憲法、教育、経済など幅広いテーマに関して日本の長期戦略の構築に挑んでいる。 ※同研究所では、趣旨に賛同する会員の募集を行っています。 問合せ先 電話: 03‐3222‐7822 URL: http://jinf.jp/

明治神宮と私
明治神宮と私

ハロルド・ライト

ドナルド・キーン氏に師事

――ライト氏と髙澤宮司(当時)との約束については、髙澤宮司の秘書をしていた中島宮司(現)の記憶に微かに残るくらいでした。それだけに、長い年月をかけて成し遂げられた強い思いに中島宮司は感動し、昨年の11月3日の例祭に参列していただくべく、アメリカからはるばる日本にお越しいただきました。まずは日本、そして明治神宮との出会いについてお伺いします。

私は高校卒業後に海軍の一員としてはじめて山口県を訪れました。もともと詩が好きだった私は岩国の本屋で日本の詩の本を捜し、そこで日英併記の万葉集を手にすることができたのです。以来、日本の詩や短歌に興味を持ち三年の兵役期間を終えた時には、自分は第二のラフカディオ・ハーンとなって日本人女性と結婚し日本に住むのだ、という思いになっていました。日本滞在の夢は叶いませんでしたが、山口で知り合った日本女性と結婚し(現夫人とは再婚)、ハワイ大学で日本の現代詩について研究するようになりました。その後日本文学の研究者として名を馳せていたドナルド・キーン氏に師事するべくコロンビア大学へ移り、1962年にはフルブライト奨学生として慶応大学に留学することができました。谷川俊太郎氏や川端康成氏と親交をもち、ますます日本文学に傾倒していったのです。

 

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見どころ満載の明治神宮の建築 ④ 宝物殿
見どころ満載の明治神宮の建築 ④ 宝物殿

宝物殿外観(筆者撮影)

内苑の北辺に建つ宝物殿は大正10年に竣功した。鉄骨鉄筋コンクリート造平家の建物で、展示室としての中倉(ちゅうそう)とその左右の東西倉、その手前の下足・手荷物置場、後ろの事務棟の七つの建物が渡り廊下でつながれている。それらを左右相称に配し、重要な建物(中倉)を中央に高く構えたあたりに、秩序重視の設計姿勢がうかがえる。また、このような分棟型の配置は寝殿造を想わせる。

 

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藤岡 洋保(ふじおか・ひろやす)

明治神宮国際神道文化研究所特任研究員(東京工業大学名誉教授・日本近代建築史)

鎮座百年記念 第二次明治神宮境内総合調査委員に聴く 代々木の杜の楠のはなし
鎮座百年記念 第二次明治神宮境内総合調査委員に聴く 代々木の杜の楠のはなし

東京農業大学教授 亀山 慶晃

私の専門分野は植物の生態学です。分子生態学と言って遺伝子マーカーを使って生態的なものを解いていこうという分野です。遺伝マーカーを使うと、人間で言えば血液型とか、その遺伝的な情報から血縁関係、人間とオランウータンとはどれくらい違うか、ということがわかります。そういうものを使って、植物の由来や、どう更新しているのかを研究します

実はちょうど、7年かけて楠の調査した結果を論文にまとめたところです。そもそも調査を始めたのは、日本の楠は外来種だという説があったからです。中国・台湾に通い、日本各地に行って千以上のサンプルをひたすら採集して、ようやく結果が出ました。

日本国内の楠は日本の楠で、中国や台湾とは違う遺伝的な歴史を持っていたことがわかったのです。世代数で言うと、およそ1万世代前に中国・台湾と日本は分かれたことが計算でわかりました。

 

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亀山 慶晃(かめやま・よしあき)

昭和50年、広島県生まれ。東京農業大学地域環境科学部地域創成科学科保全生態学研究室教授。広島大学大学院国際協力研究科開発科学専攻博士課程修了。学術博士。国際誌を含め、学術雑誌に論文発表多数。