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【平成29年】

秋号

『代々木』は、明治神宮・明治神宮崇敬会が発行する季刊誌です。

我が国の美しい伝統精神を未来に伝えるため、昭和35年より刊行をつづけております。

明治神宮崇敬会の皆様にお送りしております。

 

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明治神宮と私
明治神宮と私

五十鈴川(島路川) 平成22年10月25日 『伊勢神宮』(新潮社)より

東京のはずれで生まれて育った僕にとって、「神宮」といえば、それは明治神宮だった。伊勢神宮の正式名称が「神宮」であることを自覚したのは、宗教取材に挺身するようになってからである。

神宮の第62回式年遷宮(平成17年~同27年。別宮まで)の撮影と重ね、同21年~22年に明治神宮を撮らせていただいた。とりわけ、深い杜と巫女たちの神事舞に心はたちまち奪われてしまった。四季の杜は陽光が千変万化し、葉や幹の煌めきはやがて心眼にも映るようになった。大地に敷き詰められたイチョウの落葉。その金色の輝きは時の移ろいの一瞬だった。杜に入った途端、身心は歓喜に満たされた。百年近く自然更新を果たし続け、今や天然林に転生した杜は、こまやかで優しさに溢れていた。

 

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藤田 庄市(ふじた・しょういち)

昭和二22年、東京生まれ。大正大学文学部哲学科卒。(公財)国際宗教研究所・宗教情報リサーチセンター研究員。日本写真家協会会員。著書に『行とは何か』(新潮選書)、『明治神宮 祈りの杜』(平凡社)、『修行と信仰』(岩波現代全書)等。

※『伊勢神宮』(新潮社)は「神事編」「遷宮編」「解説編」の3冊組みで函入り。河合真如、隈研吾、渡邊直樹各氏が執筆、音羽悟氏が解説している。本体1万5千円(税別)。一般書店のほか、新潮社オンライン(https://www.shinchosha.co.jp/books/)からも送料無料で購入可能。

※藤田庄市写真展『「ひもろき」から伊勢神宮第62回式年遷宮』(仮)が、銀座ニコンサロンで10月25日~31日、大阪ニコンサロンで11月23日~29日の予定で開催される。

「明治記念館本館の歴史と文化的意義」
「明治記念館本館の歴史と文化的意義」

東京工業大学准教授 山﨑鯛介

現在、明治記念館本館として使われている「憲法記念館」はもともと、赤坂仮皇居の「御会食所」として明治14年10月に建てられたものです。赤坂仮皇居というのは、西の丸の皇居が火事で燃えてしまい、明治6年から同22年まで天皇・皇后が仮住まいされたところです。現在の迎賓館赤坂離宮がある場所で、そこに江戸時代からあった紀州徳川家の建物を仮皇居として使っていました。

明治14年に増築された「御会食所」では、新年宴会や紀元節・天長節賜宴といった三大節の行事や、来日する国賓をもてなすための晩餐会が行われました。その後、明治22年1月に明治宮殿が竣功し、そちらに天皇・皇后が移られると仮皇居としての役目を終え、以後は皇太子のための東宮御所として使われました。

 

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山﨑 鯛介(やまざき・たいすけ)

昭和42年、埼玉県生まれ。東京工業大学工学部建築学科卒、同大学院理工学研究科建築学専攻修士課程修了。平成25年より東京工業大学大学院理工学研究科准教授。「明治宮殿の意匠的特徴とその形成過程」で東京工業大学博士(工学)を取得。「明治宮殿の建設経緯に見る表宮殿の設計経緯」で日本建築学会奨励賞受賞。専門は日本近代建築史、歴史的建造物の保存活用、建築アーカイヴズ。

聖蹟を歩く 第27回 明治14年北海道・秋田・山形巡幸(1)
聖蹟を歩く 第27回 明治14年北海道・秋田・山形巡幸(1)

(草加市)高層マンション「ブリリア草加グランスイート」の前に「明治天皇草加行在所」碑(昭和9年)の複製が設置されている

埼玉県巡幸

7月30日午前、皇居を明治天皇は発ち、皇后(昭憲皇太后)ならびに英照皇太后とともに、千住(今の足立区)まで進み、お昼を召されました。

午後、皇后と皇太后のお見送りを受け、天皇は長い巡幸の旅路につかれたのです。

毛長川を渡ると埼玉県草加市に入り、ご宿泊になった草加行在所の大川宅(草加市)跡に至ります。現在、住吉町のバス停近くの高層マンションが建っている場所です(写真)。近年まで現地に遺されていた大川宅の建物は移築・再生され、加須市の「童謡のふる里おおとね図書館」の建物として、今も活用されています。草加市立歴史民俗資料館には、大川宅の復元模型(平成14年制作)や建物の写真が展示されています。

31日は、草加から幸手行在所(中村宅)へ至る道筋です。

 

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打越 孝明(うちこし・たかあき)

昭和35年、茨城県水戸市生まれ。早大大学院に学び、同大学助手や大倉精神文化研究所専任研究員などを経て、現在明治神宮国際神道文化研究所主任研究員および早大非常勤講師を務める。著書に『絵画と聖蹟でたどる明治天皇のご生涯』、共編著に『日本主義的学生思想運動資料集成Ⅰ・Ⅱ』や『大倉邦彦の『感想』―魂を刻んだ随想録―』、論文に「明治天皇崩御と御製 上・下」(『復刊明治聖徳記念学会紀要』25・26)などがある。

「資料に見る明治神宮とその時代」
「資料に見る明治神宮とその時代」

第9回『明治神宮御造営工事奉仕書類綴』 『奉仕記念写真帖』その他関係資料一式

今に語り継がれる明治神宮造営の美談の一つに、全国からの延べ11万人に及ぶ青年団の勤労奉仕があります。

当宮所蔵資料のうち、青年団の実状を記した貴重書の一つとして『明治神宮御造営工事奉仕書類綴』があげられます。本資料は山梨県東山梨郡青年団に関するもので、当時の作業規則を事細かく記した内規、日誌、書簡、新聞の切抜きなどが残されており、風間美保団長以下63名の生き生きとした日々の奉仕内容を知ることができます。

 

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