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【平成23年】

春号

『代々木』は、明治神宮・明治神宮崇敬会が発行する季刊誌です。

我が国の美しい伝統精神を未来に伝えるため、昭和35年より刊行をつづけております。

明治神宮崇敬会の皆様にお送りしております。

 

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明治の指導者に学べ
明治の指導者に学べ

渡辺 利夫(拓殖大学学長)

私は拓殖大学にきて12年になるのですが、その前は東京工業大学にいて、江藤淳さん(文芸評論家)とご一緒しました。江藤さんが書かれた『海は甦る』という著作の中で鮮やかに覚えている一言があります。「明治ほど国際的な時代はなかった」というフレーズです。逆に言えば、現代ほど非国際的な時代はないということを言いたかったろうと思うんですよね。

明治のあの時代、日本は極東の、生まれてまもない幼弱な国である一方、まさに世は帝国主義の力の時代で、欧米の列強が領土支配の欲望をむき出しにして、アジアに向かっていました。そういう時代に日本は近代化をしていかなくてはならなかった。

 

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渡辺 利夫(わたなべ・としお)

昭和14年山梨県生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業、同大学院博士課程修了。経済学博士。筑波大学教授、東京工業大学教授を経て、現在拓殖大学学長。著書に『私のなかのアジア』(中央公論新社)、『新 脱亜論』(文春新書)、『君、國を捨つるなかれ』(海竜社)など多数。

座百年に向けて「永遠の杜」づくりを
座百年に向けて「永遠の杜」づくりを

土屋 秀宇

国は「生涯教育」という言葉を盛んに使っておりますが、高齢者に重点がいっているのではないでしょうか。なぜ、生涯のスタート地点の幼児にもっと焦点をあててくれないのかというのが不満です。幼児こそ次代の後継者ですから、「国家百年の計」を考えるのであれば、幼児をりっぱに育てなくてはいけません。

国語は日本人にとっての根っこ。魂の根っこといってもいい。根っこが病んで、美しいい花が咲くことはあり得ません。その根っこが病んでいるというのが私の考えです。根っこを再生させなくてはと思って、病んだ国語の再生に努めてきました。

 

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土屋 秀宇(つちや・ひでお)

昭和17年、千葉県生まれ。千葉大学教育学部英語科卒業。平成6年、「自ら学ぶ力を育てる漢字指導」で第43回読売教育賞受賞。13年間にわたり、小・中学校の校長を歴任。自閉症児や知的障害児への漢字指導にも力を入れ成果をあげる。千葉県教育功労賞、白川静賞受賞。世田谷区日本語教育特区「美しい日本語を世田谷の学校から」の小学校作業部会長として、教科書『日本語』の作成に携わる。現在、「楽しい親子漢字教室」の出前授業や講演を通じて、漢字指導の改善と国語教育の正常化に努めている。著書に『子供と声を出して読みたい 美しい日本の詩歌』(致知出版社)、『日本語「ぢ」と「じ」の謎』(光文社知恵の森文庫)等。

聖蹟を歩く 第6回 明治10年京都・大和国行幸
聖蹟を歩く 第6回 明治10年京都・大和国行幸

明治10年(1877)、慶応2年末の孝明天皇崩御から10年を経過したこの年、京都で10年祭を行うとともに、神武天皇畝傍山東北陵(現在の奈良県橿原市)にご親拝することを目的として、1月24日、明治天皇は横浜港から海路出発されました。

行幸には太政大臣三条実美、内閣顧問木戸孝允、参議の伊藤博文・山県有朋、宮内卿徳大寺実則など多くの人々が供奉しました。冬の暴風で予定より2日間遅れての出港となりました。天皇はご心境を詠まれています。

 

きのふけふ海ふく風のはげしさに

漕ぎいでむ船もしばしとどめつ

 

はげしくも吹きくる風の音すなり

青海原に波やたつらむ

 

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打越 孝明(うちこし・たかあき)

昭和35年、茨城県水戸市生まれ。早大大学院に学び、同大学助手や大倉精神文化研究所専任研究員などを経て、現在明治神 宮国際神道文化研究所主任研究員および早大非常勤講師を務める。共編著に『日本主義的学生思想運動資料集成Ⅰ・Ⅱ』や『大倉邦彦の『感想』―魂を刻んだ随 想録―』、論文に「明治天皇崩御と御製 上・下」(『復刊明治聖徳記念学会紀要』25・26)などがある。